誤嚥性肺炎

●食べたものを気管支に詰まらせ、肺炎に

お年寄りに非常に多いのが「誤嚥性肺炎」という病気です。

お年寄りは飲み込む力が弱くなるので、食べたものを気管支に詰まらせてむせてしまうことがよくあります。

病気療養中で寝たきりのような方なら、なおさらです。

そういうとき、若い人ならセキをして気管支の異物を排出させることができますが、病弱なお年寄りにはその力もありません。

食べものには最近も含まれていますから、そのために肺炎を起こしてしまいます。

これが「誤嚥性肺炎」です。

熱が出て入院となることも少なくありません。

食事のたびに誤嚥の危険があるわけですから、良くなっても再発することが多く、お年寄りの医療の大きな問題となっています。

この誤嚥性肺炎が、やはりお口の衛生と非常に深い関係があるのです。

 

●唾液に含まれる細菌が多いほど危険

寝たきりのお年寄りは、簡単に歯科通院ができません。

洗面所へ行って歯を磨くことも困難です。

口腔衛生ケアは介護の中で行われますが、なかなか十分にはいかないものです。

特に入れ歯などがある場合は、どうしても歯周病が悪化しやすくなってしまいます。

歯周病が悪くなって口腔ケアも行き届かないとなると、唾液の中には細菌が非常に多くなってしまいます。

そのような状態で食べたものを気管支に入れれば、肺炎の原因菌も同時に肺に入り込んでしまいます。

これが 誤嚥性肺炎を招きます。

危険は、食事のときだけではありません。

眠っているときには、気がつかないうちに微量の唾液が気管に入っていきます。

重度歯周病があると、たとえ食事でむせなくても誤嚥性肺炎になる危険が高まってしまうのです。

細菌は、在宅医療が進歩してきています。

それと同時に、在宅歯科の重要性も叫ばれるようになりました。

在宅で寝たきりの療養を続けている患者さんに対して、定期的な口腔ケアを行うことによって、その患者さんの全身的な健康度が確実に上がるということがわかってきたからです。

 

お口の健康は全身の健康につながっているのです。

  次回は『慢性関節リウマチ』についてお話ししていきます。